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GERVASONI
土とともに歩む陶芸家 toho
土との対話が生み出す、自由で温かな作品たち
京都市左京区。永観堂のほど近く、カラフルで楽しい暖簾をくぐると、築100年を超える古民家の中にtohoさんのアトリエがあります。 本名は藤本美歩さん。1969年生まれ、京都市在住の陶芸家です。アーティスト名の「toho(トホ)」は、名前のおしり部分を残して名付けられたもので、“自分の道をゆっくり歩く(徒歩)”という意味が込められています。どこか「とほほ」とした優しい響きがあり、本人も力の抜けた感じが気に入っているそう。 tohoさんは、京都市立芸術大学のデザイン科を卒業後、読売テレビにて番組セットから広告・ブランディング・ロゴ・衣装・イベントステージまで、多岐にわたるデザインを手掛けていました。40歳を過ぎた頃、土の魅力に出会い作陶の道へ。50歳でテレビ局を退職し、“陶芸家 toho”としての歩みを本格化させました。 作品には高野山の*原土を使用したものが多く、そのきっかけは高野山で開催された子供向けの陶芸イベントでした。tohoさん自身も子どもたち以上に夢中で土を触っていたそうで、その様子を語る表情は生き生きとし、聞いている側もついわくわくしてしまうほど。自然味溢れる作品たちには、そんな魅力が色濃く表れています。 *原土…人工的な調整や精製を行っていない、採掘されたままの自然の土のこと。 高野山の穴窯で焼かれた2対の雛人形も見せていただきました。穴窯ならではの薪や灰の作用により、器の表面には自然釉が美しくかかり、柔らかな雰囲気が見る人の笑顔を誘います。 「昔から雛人形が好きでした」とtohoさん。雛人形は子どもたちの健やかな成長と幸福を願うもの。その相手を想う気持ちは作品の多くに表れており、作家としての創作の原点を感じさせます。 アトリエに入ると目に飛び込んでくるのは、土間に据えられた存在感のある電気窯。作品は素焼き、釉掛けや色付け、本焼きといくつもの工程を経て、この窯で丁寧に焼き上げられ、かたちとなっていきます。 古民家での作陶は、思いがけない巡り合わせから始まりました。学生時代の後輩のご縁で、使わなくなった電気窯を譲り受けたことがきっかけで、自らの制作がスタート。tohoさんと土の深い縁を感じ、まさに出会うべくして出会った素材だと強く感じさせられます。 最近では、高野山の原土だけでなく、さまざまな土地の土を使った作品にも取り組んでいます。酒米づくりの稲刈りを手伝った際にもらった土でお猪口を作ったり、近所で建て替え工事のために地面が掘り起こされた場所から土を分けてもらい、作品へと仕立てたり。掘り起こされた土は、親しみをこめて「ご近所土」あるいは永観堂に近いことから「永観堂土」と名付けられ、tohoさんらしいユーモアと遊び心が感じられます。 雛人形と同じく、昔からお気に入りのモチーフであるゴリラの作品。右手前の1体は精製された粘土で、後ろの2体はご近所土で作られています。ゴリラは気づくと無意識に作ってしまうほど親しみ深く、自身の守り神のような存在だといいます。 最新作の、唐津の土を使用した「カラツノさん」シリーズも見せていただきました。今月東京で開催される「大唐津展」への出展作品として制作されたもので、唐津の土を使っての制作は初めて。唐津焼は佐賀県唐津市を中心に作られる伝統的な陶芸で、土の粒子の繊細な質感や鉄分による赤みがかった色味が特徴。「カラツノさん」にもその個性が表れています。 土との対話 土と水から形が生まれ、窯に入れる前の姿、そして焼き上がったあとの姿や色――。同じシリーズの作品でも、その表情は一つとして同じものはありません。「土が創らせてくれる」と語るtohoさん。めぐり逢った土から受けるインスピレーションを大切にし、その特性を生かしながら、かたちへと育て上げています。 土という素朴な素材への愛情と、デザインや空間演出の経験を背景に持つtohoさんならではの表現。それは単なる陶芸作品にとどまらず、一点一点が生き生きとした存在感を放ち、見る人を惹きつけます。 作家自身の人柄と相まって、自由で遊び心に満ちた作品たちは、次にどんな形で私たちの前に現れるのでしょうか。tohoさんと土が生み出す世界は予測できない驚きにあふれ、これからも私たちを楽しませてくれるに違いありません。 個展 2025年11月 「石のある土」(ASITA_ROOM、大阪) 2025年3月 「御所の見えるとこ」(ギャラリー八角、京都) 2024年9月 「原形」(ASITA_ROOM、大阪) 2023年10月 「つちのこ」(アトリエシミズジュエリーワークス、京都) 2023年9月 「つち博」(ASITA_ROOM、大阪) 2023年3月 「○△□ 山水土」(金柑画廊、東京) 2022年9月 「原土偶」(ASITA_ROOM、大阪) 2022年6月 「二次元・三次元」(Pottari、東京) 2021年11月 「土を飾る」(ASITA_ROOM、大阪) 2020年10月 「つちのいきもの動偶」(ASITA_ROOM、大阪) 2018年11月 「陶展」(ASITA_ROOM、大阪) 2017年7月 「陶展」(ASITA_ROOM、大阪 グループ展 2025年5月 「Toy box of Peace 木代喜司2人展」(ギャラリーモーニング、京都) 2023年5月 「宙からの使い 木代喜司2人展」(ギャラリー モーニング、京都) 2022年7月 「陶と画とグループ展」(ギャラリー モーニング、京都) @toho_103 今回ご紹介した陶芸家toho氏の作品を展示したイベント「LIVING with ART 2025 -手の温もりを感じるアート-」は、2025年12月22日まで阪急うめだ本店7階コンフォートQにて開催中です。イベント詳細はこちら。
2025.12.13
北欧の名作「Yチェア」
変わらぬ人気とその魅力とは
北欧家具の話になると必ず登場するYチェアは、数あるダイニングチェアの中でも不動の人気を誇ります。1949年に巨匠ハンス J. ウェグナーがデザインして以来、70年以上にわたり世界中で愛され続け、日本ではデンマークに次ぐ販売数を記録しています。 背もたれの特徴的なフォルムから、日本では「Yチェア」の愛称で親しまれていますが、海外では正式名称である「ウィッシュボーンチェア」と呼ばれることが一般的。 Wishbone(ウィッシュボーン)とは? 鳥の胸にあるY字形の骨のこと。欧米では古くから、ウィッシュボーンを二人で引っ張り、折れた長い方の骨を取った人の願い(wish)が叶うという言い伝えがあります。そこから「願い(wish)の骨(bone)」という意味で、Y字の胸骨がWishboneと呼ばれるようになりました。 多くのインテリアショップや雑誌で取り上げられるYチェアは、“いつかは迎えたい一脚”として人々の心をとらえ、今も憧れの定番として変わらぬ支持を集めています。なぜYチェアはこれほどまでに特別なのでしょうか。 Yチェアの魅力 自由に座れるアームチェア 使い方を指定しない柔軟さ エイジング家具としての魅力 豊富なカラー展開 自由に座れるアームチェア Yチェアに座るとまず気づくのが、横方向の開放感です。アームは十分な長さを持ちながら、座面の間が大きく開いているため、座った状態での動きを妨げません。横に体をひねったり、テーブルから物を取ったり、姿勢を変えたり。どの動作もスムーズに行えます。 前脚の上端は丁寧に丸く削り出されており、触れても角を感じず快適です。こうした細部の仕上げは、座ったときの安定感と心地よさにもつながっています。 使い方を指定しない柔軟さ 一脚で置いても絵になり、オブジェのような存在感を放つYチェア。一方で、アイコニックな形状でありながらも空間にすっと馴染む柔軟さも備えています。過度に主張せず、それでいて確かな個性を感じさせる。この絶妙なバランスが、魅力のひとつとなっています。 エイジング家具としての魅力 使い込むほどに風合いが増し、経年変化(エイジング)を楽しむことのできる家具。Yチェアもそのひとつです。ペーパーコードは使用とともに程よく沈み、座る人の体にやさしく寄り添うように変化していきます。 木部は光や湿度を受けて少しずつ深い色味へと育ち、年月とともに豊かな表情を帯びていきます。 新品の美しさだけでなく、日々の使用が生み出す変化を楽しむことができるのです。 豊富なカラー展開 カラー塗装タイプもあり、グレー、ブラック、ナチュラルホワイトなどの落ち着いたトーンから、オレンジレッド、オリーブグリーンなどのアクセントになる鮮やかな色まで、多彩なバリエーションが揃っています。従来のナチュラルな木の仕上げに加えてモダンな色合いも選べるため、空間の雰囲気や好みに合わせてインテリアに個性を加えることができます。 シックな色合いでどんな空間にも上品なアクセントを添えるブラックペーパーコード仕様も。使い込むほどに艶と深みが増し、木部とのコントラストがいっそう美しく引き立ちます。 70年以上続く“手仕事”を日常価格で Yチェアは現在も、背もたれの曲線加工やペーパーコードの編み込みなど多くの工程を手作業で行っています。それでいて日常に迎えやすい価格を実現できているのは、クラフト品質と効率的な製造体制の両立によるもの。高い耐久性を備え、長年使い込むことでその価値をじっくりと実感できます。 14のパーツで構成された合理的な構造も、長く使える名作として選ばれる理由のひとつ。初めての“良い椅子”を検討中の方にもおすすめしたい一脚です。 CH24 WISHBONE CHAIR Carl Hansen & Søn カール・ハンセン&サン 104,500円〜 キッズ用 Yチェア 2024年にはウェグナー生誕110周年を記念して、お子様向けモデル「チルドレン・Yチェア」が発売されました。3歳から使用可能で、名作デザインをそのまま小型化。オリジナル同様に14パーツ・100以上の工程を経て手作業で製作され、ペーパーコードは33%細くするなど細部まで丁寧に作られています。 CH24 CHILDREN・Y-CHAIR Carl Hansen & Søn カール・ハンセン&サン 100,100円 毎日のコーヒータイムや家族との会話など、いつもの時間が少しだけ、いつもよりも心地よく感じられる。その積み重ねが暮らしの質をそっと底上げしてくれます。Yチェアは、そんな日常に静かに寄り添いながら長く価値を育てていける一脚です。 これからの季節、お気に入りの椅子と過ごす時間を迎えてみてはいかがでしょうか。 「カール・ハンセン&サン」に関する特集記事はこちら 2024.10.08 北欧インテリアブランド紹介 -名作から新しいデザインまでー 世界中で認められた北欧名作家具は、空間に馴染む普遍的なデザインで実用性も高く、いつの時代も愛されてきました。今回は創業順に、コンフォートQにてお取り扱いのある北欧インテリアブランドをご紹介いたします。 Fritz Hansen|フ... 続きを読む BRANDS(取り扱いブランド) Carl Hansen & Søn / カール・ハンセン&サン カール・ハンセン&サンは、1908年の創業時は城や貴族の家のためのクラシック家具を作っていましたが、1949年、多くの展示会で注目を集めはじめていたハンス J.ウェグナーのデザインの更なる可能性を見いだし、デザインを依頼したのが大きな転機となりました。代表作のYチェアをはじめ、木の構造を知り尽くした ブランドページへ
2025.12.08
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2025.12.08
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