オイル塗装のお手入れについても「ポリウレタン樹脂塗装編」に引き続き、飛騨産業株式会社 西日本卸事業部の佐藤さんにお話を伺っていきます。
基本的には「ウレタン塗装」と同じです。水気に気を付けながら、乾拭きで仕上げていきます。(詳しくは【木製家具のお手入れ ポリウレタン樹脂塗装編】をご覧ください)
ただ、オイルの場合はそれに加えて定期的なメンテナンスが必要です。
家具用のオイルを染み込ませ、その上からふたをするようにワックスを塗布していきます。
おすすめは梅雨の前と冬になる前の年2回。梅雨から真夏にかけての湿気と高温、真冬の乾燥といった家具には厳しい環境に備えて手をかけてあげることが家具を長持ちさせるポイントです。
そのほか、表面が毛羽だってガサガサしてきたときもお手入れのタイミングです。
メンテナンスの前(左)と後(右)。
全体的に少しかさついた印象の表面が、しっとりつるりと仕上がった。
メンテナンスと聞くと面倒くさい、難しそうというイメージがありますが、案外簡単なものです。メンテナンスをすることで、より一層家具に愛着がわきますので、ぜひチャレンジしてみてください。
具体的なお手入れの方法は「実践編」でお伝えします。
ウレタン塗装では難しい、自分でメンテナンスができるという点がオイル塗装の特徴です。
例えば傷がついてしまった場合、水にぬらした布やティッシュを傷の上に置き一晩置いておきます。すると、傷から湿気が入り込み木の中の組織がふくらみ、傷が目立たなくなるというおもしろい方法があります。
もしそんなに待てないということであれば、ぬらした布の上からアイロンの先を押し当てると、蒸気が一気に木の組織に入るため一晩かからずともお直しが可能です。
ごく浅い傷や汚れなどは、一度やすりで削ってその上から日々のお手入れと同じメンテナンスをしてもらえればきれいになります。
こちらも「実践編」でお伝えします。
→濡れた布やティッシュを置く際は、なるべく傷ついた箇所の上だけに置くようにしてください。ほかの部分に水気は厳禁です。
同じく、アイロンも傷の部分をピンポイントで押さえてください。
どうしても時間がない場合はワックスだけでもいいと思います。何もせず、乾燥を進めてしまうよりはよいでしょう。
ただ、オイルとワックスとは役割が違います。
女性のスキンケアと同じで、最後のクリームは保護にはなりますが、そればかりでは内側はうるおいません。
ぜひ別の時間の取れるタイミングで、改めてオイルを塗ってあげてください。
オイルは飛騨産業のものがベストだと思っています。亜麻仁油などの天然素材を主原料としているため、安心してお使いいただけます。
飛騨産業で販売しているメンテナンスキット(税込み3,300円)。
オイルは亜麻仁油などの天然原料でできている。使用期限は約6か月。開封後長期間置いておくと固まってしまうため、使うタイミングでの購入・開封がおすすめ。
やすりやウエスもセットになっている。
ただ、購入機会がないなど手に入らない場合は、市販のもので植物性のF☆☆☆☆のものを選んでください。
F☆☆☆☆ですと、エチレンやホルムアルデヒドなどの揮発性物質の発散量が0.3mg/ℓと大変厳しい基準をクリアしています。
蜜蝋ワックスは、各社テクスチャーに違いがあります。
伸ばしやすさなど、ご自身の好みで選ばれても良いと思います。
市販のものの中には、オイル、ワックスともに色がつくものがあります。
自分好みの色に育てていけるという楽しみもあるのですが、飛騨産業の保証、という観点では保証対象外になってしまいますのでご注意ください。
次回はいよいよ「実践編」。
筆者も実際に体験させてもらいましたが、想像以上に簡単!
食わず嫌いを払しょくするいい機会になりました。
メンテナンスに面倒くささを感じている方、必読です。
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木製家具のお手入れコラム 目次(全3回)