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2024年6月1日から6月23日までの間、コンフォートQ十三ショップにて開催された「椅子を語る 2024」展。当記事では、イベントにて展示された北欧名作椅子の数々をご紹介します。

まずはラウンジチェアから。デザイン年順にご覧ください。

- PP225 Flag Halyard Chair|フラッグハリヤードチェア 1950

ハンス J. ウェグナー

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ウェグナーが砂浜でくつろいでいる際に、砂浜に穴を掘り、そこに横たわりながら心地よい傾斜角度を割り出してデザインしたという椅子。ステンレススチールのフレームに約240mのロープが巻き付けられた特徴的な構造をしています。
70年以上の時の経過を感じさせないモダンでスタイリッシュなこのデザインは、金属とロープというワイルド、かつクラフト感漂うテイストで現代の住空間にも驚くほどマッチします。


- PP19 Papa Bear Chair|パパベアチェア 1951

ハンス J. ウェグナー

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「母熊に抱かれた子熊のようにリラックスできる椅子」と比喩されるパパベアチェア。北欧の椅子らしく、全体的に程よい硬さで身体をしっかりと支え、背中面のコイルスプリングが背中への圧力を分散します。それはまるで身体が軽くなったような感覚。中材には麻や馬毛などの天然素材が使われ、長く使うほどに座り心地に丸みが出てきます。
今回展示されたのは淡い自然色の黄色。アースカラーの背景に柔らかくマッチしています。


- PP530 Tub Chair|タブチェア 1954

ハンス J. ウェグナー

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ミッドセンチュリー期にチャールズ・イームズやアルヴァ・アアルト、アルネ・ヤコブセンらがこぞって使用した成形合板を使った椅子をウェグナーもデザインしていました。しかしウェグナーが試みようとしたのは、さらに高度な3次元加工技術(曲げとねじれ)。当時の技術では製作が不可能とされ、プロトタイプのみを残し商品化が叶わず、幻のチェアとなりましたが、60年の時を経た2014年、技術の進歩とともに現代に蘇りました。
身体を預けたくなる椅子。背もたれは3段階の角度調整が可能です。


- Corona Chair|コロナチェア 1964

ポール・M・ヴォルザー

コロナチェア_coronachair_ポールMヴォルザー 北欧家具_nordicfurniture_北欧チェア_nordicchair

“北欧の椅子”という概念からかけ離れた印象の椅子。日食の連続写真から着想を得たとされ、当時の先端技術である発砲素材とスチールの組み合わせで生まれました。
過去には映画やファッション誌などにもよく登場していたそうです。元々のコンセプトは、使用する生地をいかに少なく効率よく使い、掛け心地を良くするか、ということ。4つに分かれたパーツから成り立つ椅子で、座面は回転式。奥行も浅めで座りやすい一脚です。




次はダイニングチェアをデザイン年順にご覧ください。


- J39 Chair|J39チェア 1947

ボーエ・モーエンセン

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デンマークの生協の為に作られたこの椅子は1947年に発表されて以来75年以上継続的に作り続けられているロングセラーの1脚。デンマークではYチェア(CH24)よりも普及しているといいます。日本人にとってもどこか懐かしさと安心感を与えるこの椅子は、人々の暮らしに寄り添い、長く愛される家具作りを信念とするモーエンセンのデザイン。どんな体形の人をもすんなりと受け入れる懐の深さも魅力のひとつです。


- PP503 The Chair|ザ・チェア 1950

ハンス J. ウェグナー

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ケネディ氏が大統領選の際の討論会で座ったことでも有名。正式名は「ラウンドチェア」です。生涯で500種類以上ものチェアをデザインしたウェグナーの数ある名作の中でも最高傑作と言われ「椅子の中の椅子」と称されます。この椅子には樹齢150~200年の木が使用され、1~2年をかけて乾燥プロセスに入るとのこと。機械化が進む現代においてもこのような工法が守られているため、生産量は限られます。
背もたれから肘掛け、肘先へと流れるように研磨された曲線は身体に自然と馴染むような角度になっています。1脚1脚、ウェグナーの思いを受け継いでいるデンマークの家具工房に敬意を払わずにはいられない、シンプルで美しい椅子です。


- PP505 Cow Horn Chair|カウホーンチェア 1952

ハンス J. ウェグナー

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牛の角のような肘かけを持つ椅子。“ダイニングテーブルの下に納まる椅子“というコンセプトで作られ、ダイニングセットに適したサイズの椅子です。
背もたれの構造はシンプルでありながら強度を補完した造りになっており、接合部に敢えて違う樹種を使用することでデザインとして際立たせるこの手法は、ウェグナーの後のデザインにも使用され、特徴的なトレードマークとなりました。美しく研磨されているこの椅子の滑らかな触感は、私たちの心を落ち着かせます。


- PP701 Minimal Chair|ミニマルチェア 1965

ハンス J. ウェグナー

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その名の通り、無駄をそぎ落とした最小限の材料で成る椅子。最小限の構造の中に、椅子としての耐久性、デザイン性、座り心地の3つが叶えられています。背もたれのアーチ構造には十分な強度を確保するために3つの異なる方向の木目と長い接着面が必要でした。そこで4つの無垢材を結合することでそれらを実現しますが、問題は結合部分をひとつの面で見た時に出る木目の不揃い。それをクリアにしたアイデアが中央のクロスです。構造だけでなく座り心地も抜群の一脚です。


- VLA26P Vega Chair|ヴェガチェア 1956

ヴィルヘルム・テオドア・ラウリッツェン

ヴェガチェア_VLA26P_vegachair_ヴィルヘルムテオドアラウリッツェン 北欧家具_nordicfurniture_北欧チェア_nordicchair ダイニングチェア_diningchair

ヴィルヘルム・テオドア・ラウリッツェンは、デンマークを代表する建築家であり、「デンマークモダニズムの父」とも呼ばれています。彼が手掛けた建築のひとつ、コンサートホール「Vega(ヴェガ)」の為に作られたのがこの椅子。ラウリッツェンらしい機能美に溢れており、8脚までスタッキングが可能です。無駄をなくしたデザインの中にもどこか愛嬌のある面持ちはコンサートホールを訪れる人々に愛されるデザインではないでしょうか。
板座と張座タイプがあり、張座仕様はより快適にお座りいただけます。


- OW58 T-Chair|Tチェア 1958

オーレ・ヴァンシャー

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どことなくクラシック。それでいてモダン。そんな印象を受けるヴァンシャーのデザインしたこの椅子は、後ろ姿がTの字を連想させることからこの名がつけられたとか。特徴である背もたれは脚へと途切れることなく接合されていることで流れるように伸び、まるで背筋をピンと伸ばしたような凛々しさを感じさせます。独創的な家具を追求したデザイナー、オーレ・ヴァンシャーの特徴が良く出ている1脚と言えるでしょう。1958年にデザインされ2021年に復刻しました。現代の住まいにも取り入れやすい軽やかなデザインチェアです。




そして最後は、うめだ店展示商品として今回の椅子展に参加した4脚をご紹介いたします。


- CH71 Mini Bear Chair|ミニベアチェア 1952

ハンス J. ウェグナー

コンパクトな姿からは想像できない座り心地。北欧の椅子らしい硬さを持つこの椅子は座面、背中の程よい硬さが長時間座ることを可能にします。長時間座ることのできる椅子とは、腰に隙間ができずしっかりと支えてくれる椅子のこと。また、日本の住宅事情にも適したサイズ感。和室、洋室、子供部屋、どんな空間にも容易に溶け込みます。
パパベア同様、肘置きの先端に小さいながらも付いている爪が手に触れることで、更に安定感のある掛け心地を生みます。


- CH78 Mama Bear Chair|ママベアチェア 1954

ハンス J. ウェグナー

通称ママベアチェア。母のように優しく包み込んでくれるイメージからその名がついたのでしょうか。実際のサイズは少ししか変わりませんが、”パパベアチェア”に比べると、シートや背の厚みなどが全体的に華奢な印象を受けます。ハイバックの為、頭も安心して預けることができるのも人気の理由のひとつでしょう。圧迫感が少なく軽やかなママベアチェアは、日本の住空間にも馴染みやすい一脚です。


- PK22 1956

ポール・ケアホルム

デザイナーのポール・ケアホルムは、木などの天然素材と同様に、スチールに高い関心を寄せ、芸術的な面でもスチールには優れた可能性があるという気持ちを抱いていたといいます。そして生まれたのが、この面と線で構成されたとてもシンプルな椅子。
鉄と革からなるこの椅子は、座面が低めになっており、座ると視線も低くなることから、より安定感を感じリラックスして座ることができます。彼の作品はパリの国立図書館や東京の国立新美術館にも設置されており、世界中の人たちから愛されています。もちろん和の空間に取り入れることで、ひときわ静謐な雰囲気を作り出します。革張りのほか籐素材もございます。


- OW149 Colonial Chair|コロニアルチェア 1959

オーレ・ヴァンシャー

オーレ・ヴァンシャーの代表作とも言えるコロニアルチェア。コンフォートQでも人気が高いチェアの一つです。魅力はもちろん造りの美しさと細部にわたり随所に見られる職人の技術。それ以上にサイズ、掛け心地、価格のバランス感。そして最大のポイントは、老若男女を問わず好まれる飽きの来ないデザインです。それら全てが嚙み合ってこそ、所有したい気持ちは大きくなります。ここまでバランスの取れた椅子は大変稀ではないでしょうか。



知れば知るほど奥深い椅子の話。素晴らしいデザイン、素晴らしいプロダクトは、これからも時を越えて皆さまに愛されていきます。
今年も沢山の方にご来場いただいた椅子展。引き続きコンフォートQでは様々な北欧チェアを取り扱っております。簡単なご相談からスタイリングまで、ぜひコンフォートQにお任せください。

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