ウェグナーはPP501(籐張り)を1949年に、アメリカ市場をターゲットとしてPP503(革張り)をその翌年にデザインしました。当初ウェグナーはラウンドチェアと呼んでいました。1960年アメリカ大統領選の際、ジョン・F・ケネディとリチャード・ニクソンが腰掛け、テレビ討論会を行ったことにより世界的に注目を集めることとなります。自身が最も美しく見え、また当時腰に悩みがあったケネディが、背中がとても楽にサポートされ、その快適な座り心地に感心し、「これぞ椅子の中の椅子、特別な椅子」という意味から「The chair!」と呼んだのです。そしてこの歴史的な討論会を機に、ザ・チェアという愛称で呼ばれるようになりました。ザ・チェアは当初、背もたれのジョイント部分が現在とは違い直角だったため、あまり美しいとされず、籐を巻いて隠していました。しかし後に、その形状がフィンガージョイントに改良され、美しいデザインとして再認識されました。現在ではザ・チェアの特徴的なデザインのひとつとなっています。