2024.05.31
1990年の創業時より、日本全国の職人や工場と共に製品を作ってきたTime & Style(タイム アンド スタイル)。2008年にはブランド自身が家具を製造する工場、タイムアンドスタイルファクトリーを北海道の旭川に設立。国内で製作をし、世界へ向けて発信しています。
タイム アンド スタイルだからこそ提供できる、木目・節・色の濃さなどが一点ずつ異なる天然木ならではの風合いや、仕上げや塗装による様々なテクスチャの選択。例えば「鉄水仕上げ」は日本の古典的な仕上げ方法です。
ナラ材に鉄分が触れると、木材に含まれるタンニンと鉄分が化学反応を起こし黒色に変化します。この特性を生かしてナラ材を自然に黒へ変色させたものが「鉄水仕上げ」。美しい色ムラから来る豊かな表情が特徴で、まるで薬湯に浸かっているような独特の甘い香りを放ちます。鉄水でしか出すことのできない黒の風合いに魅せられ、仕上げの依頼は全国から寄せられます。
タイム アンド スタイルは自社で家具製作をしているだけではなく、コラボレーションも多いブランド。妥協のないブランドの技術は、デザイナーや建築家に愛されてきました。
そんなタイム アンド スタイルの代表的な商品をご紹介いたします。
自然現象や人々のふるまい、心の動きに寄りそう「微視的設計」による「建築・自然・身体」の有機的関係の構築をモットーとし、それらが地域の歴史や文化、産業、素材等に基づいた「そこにしかない建築」と協奏することを目指す中村氏。近年はそのエッセンスを日本の伝統的な建築や庭園文化の中に見出し、それらの再構築にも取り組んでいます。
そんな彼らがデザインしたのが"Takenoko chair(タケノコチェア)"。デザインの着想となったのは「タケノコ」と呼ばれる床柱の皮付き丸太を斜めに削って面取りし、畳を入れやすくした納まりです。昔の日本では、建てられた家屋の下から筍の子が突き出て来るなんてことも。本来ならば忌み嫌われるその事象さえもあばら屋の風情として愛するような、侘び寂びの感性が現れています。実際に座ると日本人の体にフィットする感覚に驚きます。軽量で、アーム部分をテーブルの天板に引っ掛ける収納を可能にしました。
テーブル:PE、チェア:Cats chair、障子:Shoji、ハンガーラック:Branch of the maple
写真手前のテーブル"PE"は、建築家・隈研吾と制作したコレクションの中のひとつ。どんな空間にも馴染むシンプルでニュートラルなテーブルです。仕上げは2種類あり、写真はステンレスのバイブレーション仕上げのもの。ランダムな研磨模様を施すことでマットな質感と味わい深い風合いを表現します。
もうひとつの仕上げ、黒皮(1000度ほどの高温で鉄を加工して温度が下がってゆく時に表面が酸化してできる被膜)仕上げは、色の濃淡、手触りなど一定ではありませんが、鉄が本来持っている傷や色むら、微細な凹凸などの素材感を表現でき、飾り気のない無骨な姿が不思議な魅力を放ちます。
"隈研吾 コレクション"
奥の障子とコートハンガーは"Time & Style édition(タイム アンド スタイル エディション)"。過去特集記事『タイムアンドスタイル新作レポート 世界が注目する“メイド・イン・ジャパン”の秘密 vol.2』にてご紹介しておりますのでぜひご覧ください。
スイスの建築家、ピーター・ズントーとともに、日本の歴史と文化を背景とした伝統的な素材と技術を用いて製作されたこのコレクションは外せません。
永きに渡り日本に受け継がれている伝統を生かしたものづくりは、ピーター・ズントーが考える、長い時間軸に耐え得る本質的で普遍的な存在となる建築の創造と言う概念との親和性を持ちます。彼が生み出す建築は、その土地の風景の一部となって遥か先の未来にも存在するように、時間や時代を越えるもの。普遍的な存在となる未来のパーマネントコレクション、その中から2点をご紹介します。
Valserliege type-1 (ヴァルサリーゲ タイプ1)
シェーズロングの優しい曲線は、唯一無二の存在感を生み出します。まるで初めからその形であったかのような美しく柔らかなカーブは人の体に馴染み、寝転んでみると独特の浮遊感を感じます。無垢の木材を使用することで、メンテナンスをしながら長く大切に使い続けることが可能となりました。無垢材を高温の窯で蒸した後、木目に沿って曲げ、金属の型にはめて固定したまま乾燥させるこの曲木加工は、100年前から現在に至るまで変わらずに手作業で行われており、まるで初めからその形であったかのような美しいカーブが形成されます。
鮮やかなベロア生地が張られた4本脚のスツール。"女性のスツール"と名付けられたこのスツールは、クラシックで洗練された雰囲気の中に優しさや可愛らしさ、さらには凛々しい佇まいを持ちます。
座面にはスイスのクリスチャン・フィッシュバッハ社の発色の良いベロア生地が採用されました。
Damenhocker(ダーメンホッカー)
それぞれにご紹介した商品は一部となりますが、どれもタイム アンド スタイルだからこそ実現できたものばかり。タイム アンド スタイルは、日本の伝統技術を現代の生活に進化させたデザインコンセプトのもと、素材が持つ手触りを大切にし、永く使い続けることができる、丁寧で繊細な新しい日本のものづくりに挑み続けています。
過去の特集記事もぜひご覧ください。
Time & Style Osaka
大阪市中央区南船場2丁目7-14大阪写真会館1F
TEL:06-4708-3441
営業時間:11:00 – 19:00 (水曜定休)
アクセスはこちら