家具の歴史は古く、古代エジプト女王の玉座に始まり現代まで、さまざまなアイテムが生まれ、そして発達してきました。
その中で素材としてもっとも多く用いられてきたのが「木」です。
私たちはどれほど「木」のことを知っているでしょう?
おもしろくて深い、家具と木の関係をご紹介していきます。
「広葉樹」と「針葉樹」。理科の授業で習った記憶がある人も多いのではないでしょうか。
松などの冬場でも青々とした針葉樹は原始的な構造をしています。一方、四季折々、様々な変化をする広葉樹は、針葉樹が環境の変化に合わせて進化していったものと言われています。どちらが良いというものではなく、育つ環境に合わせてそれぞれ生き抜くために進化してきました。
しかしながら、こと家具に対してとなると向き不向きがでてきます。
針葉樹は原始的な構造をしていると言いましたが、その分成長スピードが速く、「軽い木材」に育ちます。
逆に広葉樹はじっくりゆっくりと成長する分、中身の詰まった「重い木材」に育ちます。 (桐のような例外もあります)
ここで大事なことは軽い=柔らかいということ。
つまり必然的に、家具には硬い広葉樹が使われることになります。
今回はそんな広葉樹の中でも特に家具でよく目にする3種、「オーク」「ウォルナット」「ブナ(ビーチ)」についてご説明していきます。
別名「King of the Forest」森の王と呼ばれるオーク材は、はっきりとした木目とザラリとした木肌が特徴です。世界的に家具の材料として人気があり、あらゆるブランドにオーク材の家具が見受けられます。
ちなみによく同じと思われる「ナラ材」ですが、仲間ではありますが種類は異なります。木目も色も異なりますので、オークの中で好みの材を探してみるのもおもしろいでしょう。
オークとは反対に「Queen of the Forest」、森の女王とよばれるブナ材。きめ細かな木肌と明るく柔らかな木目は、まさに女王といえます。
ブナの木は日本にも広く自生しており、青森から秋田にまたがる白神山地はブナの原生林として世界遺産にも登録されています。
ブナは世界的にも多く生育しており、海外で採れたものを「ビーチ」と呼ぶことが一般的です。
世界三大銘木のひとつであるウォルナット。赤太(中心部のこげ茶の部分)と白太(周辺部の白っぽい部分)のコントラストが美しい木。
最近ではその色味を活かした一枚板のダイニングテーブルも人気です。
しかしながら、美しいウォルナットの板は希少価値が高くなかなか手に入りません。今回話を伺った柏木工では輸入時の木材グレード最高位といわれるFAS(First and Second)の木材を使用した「スーパープレミアムテーブル」があり、他も製品と見比べるのも面白いかもしれません。
今回ご紹介した3つの木は、どれも葉が多く茂る広葉樹です。
葉が茂ると風の影響を受けやすくなり、木はそれに耐えようと「しなる」ことを覚えます。
そうして粘りのある、折れにくい木へと進化してきたのです。
スポークバックや曲木の技術などは、まさにこの粘りを活かしたもの。
木の進化と人の知恵のたまものなのです。
ブナ材を使用した「LEIソファ」。背もたれの曲木やウィンザーチェアのような背もたれのデザインは、粘りの強いブナならでは。
余談ですが、「タモ材」をご存知でしょうか?
先の3つと同じで粘りのある広葉樹。野球のバットやラケット、もちろん家具にも使われる美しい木材です。
ところが2020年の秋、とんでもないニュースが報じられたのです。
「Russia plans to implement log export ban by 2022」
つまり、2022年までにロシアは丸太の輸出禁止を実行する、というのです。 そしてその中にタモ材が含まれています。
実際はオーク材も含まれていますが、オークは北米やカナダも大きな産地。一方のタモ材は、その多くをロシアからの輸入に頼っています。
つまり、タモ材の流通量が減り、価格も高騰してしまう可能性が高くなってしまうのです。
ロシアの禁輸措置に加えて、昨今のウッドショック。木材を取り巻く環境は刻々と変化しています。
もしお気に入りのアイテムを見つけたのなら、早めの検討をおすすめします。
柏木工 大阪ショールーム
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