INTERIOR

2023.06.06

フィン・ユールの家具はなぜ「名作」なのか?

アイテムカテゴリ ラウンジチェア

ここ数年、北欧家具に対する関心の高まりは目覚ましいものを感じます。
“家具・デザインといえばイタリア“という一極集中から、幸福度の高い北欧の暮らしへ興味が広がっていくことは、決して不思議なことではありません。

そんななかインターネットで世界がつながっている現代においても、思いのほか北欧家具の情報というのは手に入らないものです。
知識があれば家具の見方が変わる。そして名作家具が生まれたバックグラウンドを知ると、ますます愛着がわいてくる。
ぜひこの記事を通して北欧家具の新たな魅力を発見してみてください。


《 復刻したウイスキーチェア 》

ウイスキーチェアは1948年にフィン・ユールによってデザインされました。
もともと1948年に開催されたキャビネットメーカーズギルド展でのフィン・ユールのコンセプト、「アートコレクターのリビングルーム」の一環として発表されました。
残念ながら彼の存命中に生産に至ることはありませんでしたが、2022年、この大胆かつ遊び心に溢れたチェアが復刻することとなりました。

HOUSE OF FINN JUHL/ハウス・オブ・フィンユール《復刻したウイスキーチェア》
HOUSE OF FINN JUHL/ハウス・オブ・フィンユール《復刻したウイスキーチェア》右手のアーム

最高品質のウォールナットで作られたウイスキーチェアは贅沢でありながらとてもチャレンジングなデザイン。
右手のアームは緩やかな曲線を描き、その先には半円型の真鍮製のテーブルが配置されています。
このテーブルは開いて円形になり、そこにはグラスをはめ込むための穴が開いています。
左手のアームは、よく見ると右手とは異なる形。フィン・ユールが描いたオリジナルのスケッチから、2脚並べた時に右と左のアームが美しく沿う様子がわかります。


用途がここまで絞られているとは、ほんとうに贅沢なチェアです。
発表された当時、批評家から贅沢すぎるというコメントがあったようですが、それも当然の感想でしょう。
しかしながら、それらの批判を越える(限られた用途への)機能性とデザイン性は、フィン・ユールが常に家の中のことを考えどうやって快適に楽しく過ごすかにフォーカスし、それを具現化していったからに他なりません。

商業的な側面を考えず、自由にデザインしたからこそ生まれた“ウイスキーチェア”。
フィン・ユールのデザイン哲学を知るのにぴったりな1脚です。

HOUSE OF FINN JUHL/ハウス・オブ・フィンユール《復刻したウイスキーチェア》オリジナルのスケッチ

《 フィン・ユールの家具作り 》

今回復刻したウイスキーチェアをはじめ、フィン・ユール作品をよく見てみるととても軽やかな印象を受けるはず。
チーフテンチェアに53チェア、ニューハウンテーブル…その共通点は“浮遊感”です。

例えば53チェア。
そのアームは座面本体から“浮いて“いるようです。ギリギリまで細くなめらかに削られたアームとボディは真鍮でつながれ、その空間のおかげでとても軽やかな印象を与えます。
また、座面を下から支えるフレームはカーブしながら切りあがっており、わたしたちが立っている時の目線からだと接続部分が見えません。
これもまるでフレームから“浮いて“いるかのように見せるデザインの工夫です。

HOUSE OF FINN JUHL/ハウス・オブ・フィンユール 「53チェア」

このようにフィン・ユールは家具に軽やかさを求めます。
実際には厳選されたウッドや上質なレザーを使用しているためずっしりと重いフィン・ユール作品。
毎日見る家具だからこそ圧迫感をなくし、目からもくつろぎ感を演出したかったのかもしれません。

HOUSE OF FINN JUHL/ハウス・オブ・フィンユール 「53チェア」

《 北欧と家具の関係 》

北欧の冬は長い。
これこそが北欧家具文化が花開いた一番のキーといえるでしょう。
来る日も来る日もつづく、暗く寒い日々。必然的に家で過ごす時間が多くなります。
また日本に比べて物価も高いため、外食も頻繁にはいきません。友人を自宅に招いてのディナーがとても一般的です。
いかに家を居心地よくするか、どのように個性を表現するかが北欧の人々の関心事なのです。

フィン・ユールは建築家です。
家具職人やプロダクトデザイナーとは違う目線で家具をつくります。
フィン・ユールは主に住宅を専門とした建築家であったため、とりわけ生活の様子をイメージした家具作りに注力していました。

たとえば「カクテルテーブル」。
柔らかく角が落とされた三角形のコーヒーテーブルは、家族や友人との団らんを楽しんでほしいとデザインされました。
それぞれの“辺“に座ると自然と中央に視線が集まり、皆の顔を見ることができるのです。
加えて、ものが転がり落ちにくいよう縁がせりあがったデザインにしつつ、掃除がしやすいよう角は縁を途切れさせる。
まさに実用性+遊び心を大切にするフィン・ユールらしいテーブルです。

HOUSE OF FINN JUHL/ハウス・オブ・フィンユール 「カクテルテーブル」
HOUSE OF FINN JUHL/ハウス・オブ・フィンユール 「カクテルテーブル」

いかがでしたか?
北欧家具やデザイナーのバックグラウンドを知ると、今まで見ていたものの見方がかわります。
その新たな目線でそれぞれの名作を見てみてくださいね。


今回ウイスキーチェアの復刻を記念して最初の250脚(日本国内は20脚のみ)に、それぞれナンバリングされた真鍮製のプレートが付属し、さらにアームの真鍮製テーブルにぴったりはまるグラスとウイスキーが入った特製ボックスが贈られます。
ウイスキーはデンマークの名蒸留所「Stauning Whisky」によって、アマローネワインキャスクで熟成された限定ピートスモークシングルモルトウイスキー。
そしてグラスはデンマーク・シルケボーにある吹きガラス職人のMikkel Yerstによってつくられています。

コンフォートQではこの限定プレート&ボックス付きウイスキーチェアをご覧いただけます。
(展示の状況はおたずねくださいませ)

HOUSE OF FINN JUHL/ハウス・オブ・フィンユール《復刻したウイスキーチェア》最初の250脚にナンバリングされた真鍮製のプレートが付属します
HOUSE OF FINN JUHL/ハウス・オブ・フィンユール《復刻したウイスキーチェア》最初の250脚にグラスとウイスキーが入った特製ボックスが贈られます

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