INTERIOR

2022.08.16

マルニコレクション 2021
新作発表会レポート


マルニコレクション 2021新作発表会レポート

いまやマルニ木工といえば「地中海シリーズ」ではなく「HIROSHIMA」を思い浮かべる方も多いのでは。
それほどまでに大きく成長した「マルニコレクション」は、2008年、深澤直人氏をアートディレクターに迎えスタートしました。

冒頭の「HIROSHIMA」シリーズは、まさにマルニコレクションの代表作。
日本だけでなく世界中のデザインアワード受賞に加えて、アップルの本社屋“Apple Park”にもHIROSHIMAがずらり。
マルニ木工だけでなく、深澤氏の代表作となりました。

《 Tako 》

今回満を持して登場した「Tako」シリーズ。
「HIROSHIMA」を越えるような新たな代表作をという思いから、深澤氏によってデザインされました。
有機的なラインと心地よい触感で、「HIROSHIMA」とはまた別のアイコニックなアイテムとなりそうです。

Takoの特徴は何といってもそのオーガニックなデザイン。その曲線的な背~脚にかけてのラインは、どこを触っても手に優しく、そしてフィットします。また、場所によって直径の違うアームは見た目にもわくわくするような躍動感を与えてくれます。

マルニコレクション 2021新作発表会レポート_今回満を持して登場した「Takoタコ」シリーズ。深澤直人

テーブルとチェアを合わせたようすは、まさに「Tako」とネーミングしたくなるフォルムだ。

触り心地の良さはアームだけではありません。この椅子に掛けて何気なく腕を下したとき、あることに気が付きます。
普段の生活の中ではきっとアームに肘を置かず、腕をだらりと下ろすこともあるでしょう。実は「Tako」の座面裏からサイドにかけてはなめらかな曲線に整えられており、表側の面材と同様の仕上げが施されているのです。
何気ない瞬間も心地よい。こだわりを感じる丁寧な作りの逸品です。

ちなみに「Tako」の由来は、出来上がった作品のフォルムから。ユニークなネーミングのこの椅子が「HIROSHIMA」を越えて世界へ羽ばたくのか、要注目です。

マルニコレクション 2021新作発表会レポート_今回満を持して登場した「Takoタコ」シリーズ。深澤直人

背もたれからアームと脚への分岐点。なめらかな削り出しは、ずっと触れていたくなる美しさ。

マルニコレクション 2021新作発表会レポート_今回満を持して登場した「Takoタコ」シリーズ。深澤直人

「Tako」の座面裏は、表と同様に仕上げられている。なにげなく座面を握ったとき、その触り心地にハッとするだろう。

《 Fugu 》

奇しくも今回のマルニコレクション新作発表の場では、海の生き物が名をはせているようです。

ジャスパー・モリソンがデザインした「Fugu」。
もともと2019年に「Fugu チェア」が展開されており、今回は同シリーズの「テーブル」が追加の展開となりました。

一見とてもシンプルで、特に変わったところがなさそうなテーブル。
シンプルな無垢の天板とそこからすらりと伸びたハの字型の脚、誰しもが好印象を抱きそうな作品です。このハの字脚のおかげで幕板が奥にひっこみ、椅子を深くまで挿し込むことができるというメリットもあるのだとか。

マルニコレクション 2021新作発表会レポート_「Fuguフグ」テーブル。ジャスパー・モリソン

「Fugu」テーブルに人気の「HIROSHIMA」を合わせてみる。幕板が奥にあるため、アームもここまで収まる。

しかしながら、注目すべきはやはりそのデザインです。
ジャスパー・モリソンらしいシンプルなデザインは優しく温かみを感じます。そして唯一無二のめずらしいオーバル型は、どこをとっても直線がありません。美しく曲線を描くように10mm単位で奥行が調整されているのです。
楕円のように直線的ではなく、ラグビーボール型のようにとがっていない。絶妙な丸みを帯びたこの形こそ、彼のこだわりといえます。

そして気になる「Fugu」の由来ですが、これはジャスパー・モリソン氏が広島で食べたフグを大変気に入っているからだとか!
マルニ木工の創業地であり本社工場がある広島に、年に一度、深澤直人氏とジャスパー・モリソン氏を招いて試作検討会を行っていたそうです。その際に食していたフグがあまりに気に入ったこと、そのように皆で過ごす時間が幸せだったことを想い、「Fugu」と名付けたそうです。

マルニコレクション 2021新作発表会レポート_「Fuguフグ」テーブル。ジャスパー・モリソン

他のオーバルテーブルとは似ても似つかない「Fugu」テーブル。

《 T1チェア 》

「Fugu」チェアと同じくジャスパー・モリソンが手掛けるT&Oシリーズから、「T1チェア(スタッキング)」がお目見えしました。

一般的に、座面裏に脚を取り付けるタイプのチェアの場合、座面裏にそのまま脚をネジなどで取りつけます。もちろん脚のパーツは座面の板より下へでっぱっています。
ところが、今回新しく発売された「T1チェア(スタッキング)」は、脚のパーツがすっぽりと収まるよう、座面の板がくりぬかれているのです。

マルニコレクション 2021新作発表会レポート_「T1チェア」スタッキングチェア。ジャスパー・モリソン

脚のパーツがでっぱっていないため、重ねたすがたもスマートだ。

誰も裏まで気にしない、と言ってしまえばそれまでですが、そういったところにデザイナーのこだわりとマルニ木工の工業技術が現れています。

マルニコレクション 2021新作発表会レポート_「T1チェア」スタッキングチェア。ジャスパー・モリソン

脚のパーツがすっぽりと座面裏に収まっている。工芸技術の工業化に成功したマルニならでは。

世界を舞台に活躍する「マルニコレクション」のアイテムたち。
それはひとえに、職人の技術だけに頼ることなく、その技術を工業化し効率よく生産できるようにしたマルニ木工の戦略勝ちと言えるでしょう。
しかしながら、これほどまで欧米に広く受け入れられたのは、技術力だけではなくデザインがあってこそ。
マルニ木工とデザイナーとの間に築かれた確かな信頼関係は、これからも素晴らしいアイテムを創りだしてくれること間違いなしです。

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