INTERIOR

2022.08.09

飛騨産業 新作発表会
-創業100年を迎えて-


創業から100年を迎えた飛騨産業。そんな大きな節目である2020年より、100周年を記念した作品が段階的に発表されてきました。(2020年度はcovid-19蔓延のため、展示会は中止となりました)
今回はその第7弾、集大成として発表された作品の数々は、飛騨産業の節目にふさわしいアイコニックな品々ばかり。
これからの飛騨産業を体現する作品をご紹介していきます。

飛騨産業 2022新作発表会 -創業100年を迎えて-

《 SHINRA(森羅) 》

今回のメインアイテムとなる「SHINRA」は、彫刻家三沢厚彦氏によってデザインされました。
まるで動物が4本の足で佇んでいるような、そんな雰囲気を感じるSHINRAは、一般的な家具づくりには適さないと言われている小径木材*や早生樹、端材をまとめ、接着した塊から削り出しで作られています。
座るという実用性を越えた、有機的で愛嬌さえも感じるデザインはもちろんながら、こうした「小さな木材」を使うという点でもこの「SHINRA」は飛騨産業の今を表していると言えます。

2020年に突如発表されたロシアの木材禁輸措置のほか、2021年ごろから取り沙汰されているウッドショックなど、近年木材、特に輸入材を取り巻く状況はとても厳しくなってきています。
建材や家具用の木材のほとんどを輸入に頼っている日本。家具の生産に影響が出るというのは想像に難くありません。

そんななか、飛騨産業は積極的に端材や小径木材を用いて森林資源を「ちゃんと使う」取り組みをはじめています。
これまでも人気シリーズ「森のことば」のように節入り材を使用したラインアップはありましたが、今回のコレクション発表会ではさらにそれらを拡充。
荒々しい節をそのまま用いたシリーズや前述の小径木材、通常は捨てられてしまうはずの枝をそのままデザインに活かしたものまで、その表現はさまざまです。

飛騨産業 2022新作発表会_SHINRA(森羅)彫刻家三沢厚彦氏によってデザイン
飛騨産業 2022新作発表会_SHINRA(森羅)彫刻家三沢厚彦氏によってデザイン

上:コロンとしたフォルムは愛嬌たっぷり。
下:足元だけ見ると、まさに動物のよう。節やさまざまな木目をそのまま活かし、愛着あるひとしなに。

*小径木材 … 丸太の末口(木の先側)直径が14cm未満のもので一般的には家具作りに適さないと言われている。

飛騨産業 2022新作発表会 -創業100年を迎えて- 三沢厚彦

三沢厚彦
1989年東京藝術大学大学院修了。2000年動物の姿を等身大で彫った木彫「Animals」を製作開始。主な受賞歴に2001年第20回平櫛田中賞、2019年第41回中原悌二郎賞など。各地の美術館で個展を多数開催。(協力:西村画廊)

《 medel 》

いまや家族の一員として、欠かすことのできない存在となったペット。
中でも今回新作として登場した“medel”は猫を愛でる台として、大の愛猫家として知られる「設計事務所ima」の2人によってデザインされました。
幾何学的なかたちのmedelは高さ90cm。ちょうどソファに座ったときの目の高さに愛猫がちょこんと座っている、まさにずっと愛でていたいという猫好きさんたちの夢をかなえる家具の誕生です。
そして実はこちらも小径木材の集成材からつくられています。
人にも猫にも森にもやさしい、ハッピーなアイテムです。

*展示店限定品のため、飛騨産業へお問い合わせくださいませ。

上:キャットタワーとしてもサイドテーブルとしても使うことができるmedel。
下:断面をみると、家具作りには活用が難しい短材や巾狭材が使われていることがわかる。

飛騨産業 2022新作発表会_今回新作として登場した“medel”は猫を愛でる台として、大の愛猫家として知られる「設計事務所ima」の2人によってデザインされました。
飛騨産業 2022新作発表会_今回新作として登場した“medel”は猫を愛でる台として、大の愛猫家として知られる「設計事務所ima」の2人によってデザインされました。
飛騨産業にはmedel以外にもいくつかペット家具のラインナップがある。
飛騨産業にはmedel以外にもいくつかペット家具のラインナップがある。

飛騨産業にはmedel以外にもいくつかペット家具のラインナップがある。
左:ねこちゃんたちに大好評の2段マンションは、屋根にノンスリップ加工が施されている。
右:人気シリーズ「森のことば」をそのまま小さくした、わんちゃん・ねこちゃん用ベッド。

《 クマヒダ 》

昨年発表された、建築家 隈研吾氏と飛騨産業のコラボレートシリーズ「クマヒダ」。ダイニングセットに加え、今回新たにラウンジチェアと2シーターがお目見えしました。

コンクリートの時代から木の時代へ。隈氏が「木の潜在力」を引き出すことにこだわり、作り上げたのがこの「クマヒダ」です。
紡錘形(レモン型)の前脚は、木の柔らかさとすっきりとした印象を同時に与えます。そして背もたれの長い曲線部はそのままアームとつながり、座りやすさだけでなく美しさまでも感じる魅力的な逸品です。

家具は実際に触って、座って、使うもの。触り心地にもこだわった「クマヒダ」に触れて、隈氏の想いとそれを実現した飛騨産業の技術を体感してみてください。

上:前後の脚のみで支えられている背もたれは、究極にシンプル。
中:とことんまで無駄を削ぎ、軽やかなフォルムに。
下:「クマヒダ」の特徴である、紡錘形の前脚。サイドからはスリムでエッジの効いた印象だ。

飛騨産業 2022新作発表会_《クマヒダ》昨年発表された、建築家 隈研吾氏と飛騨産業のコラボレートシリーズ
飛騨産業 2022新作発表会_《クマヒダ》昨年発表された、建築家 隈研吾氏と飛騨産業のコラボレートシリーズ
飛騨産業 2022新作発表会_《クマヒダ》昨年発表された、建築家 隈研吾氏と飛騨産業のコラボレートシリーズ

《 飛騨産業らしさとは 》

今回の展示会にお邪魔してすばらしいアイテム見ていくなか、筆者の心をとらえたのは自然の枝をそのまま活かしたライトでした。
森からそのまま持ってこられたようなナチュラルな質感は、お部屋を一気にあたたかくしてくれますし、コンテンポラリーなお部屋のアクセントにもなりそうです。

そしてまさにこのアイテムこそ、今の飛騨産業を体現しているのではと感じたのです。
日本の材をとことん活かす努力。次の100年も森とともに生きていくために、飛騨産業はそのデザインと技術で先陣をきって「持続可能なものづくり」を目指しています。

このライトに適した枝が見つからないことから、残念ながらこのアイテムはまだ参考商品とのこと。ぜひ商品化していただきたいものです。

上:立てかけても床に寝かせても、と想像が膨らむ。
中:木をそのまま活用しているため、枝ぶりも自由だ。
下:LEDが埋め込まれており、オブジェとしてだけでなく間接照明としての役割も。

飛騨産業 2022新作発表会_自然の枝をそのまま活かしたライト
飛騨産業 2022新作発表会_自然の枝をそのまま活かしたライト
飛騨産業 2022新作発表会_自然の枝をそのまま活かしたライト

いかがでしたか?
飛騨という木工の文化が根付いた土地に生まれた飛騨産業。家具を作るだけでなく、産地のブランディングや森林資源の活用、人材育成と取り組みは多岐にわたります。
これからの飛騨産業の活動に目が離せません。

取材協力

HIDA 大阪店(飛騨産業 大阪ショールーム)
〒530-0004 大阪府大阪市北区堂島浜1-4-4 アクア堂島東館1F
営業時間:10:00-18:00
定休日:水曜・第3火曜定休
※予約優先制(ご予約はお電話またはメールにて承っています。)
TEL:0120-117-970(フリーダイヤル)
06-6110-5022
MAIL:osaka@shop.hidasangyo.com
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