香川県・小豆島の苗羽地区に、古民家再生型の一棟貸し宿「お屋敷ステイ 幸(こう)」が誕生しました。昭和初期の母屋と、明治期の蔵を擁する旧家の邸宅を丁寧に再生し、歴史の趣と現代の快適性を静かに融合させた滞在空間です。
本施設において、コンフォートQは家具の提案および納品を担当しました。
建築に刻まれた記憶や素材の風合いを尊重し、「間」や「余白」を生かした空間設計。その上に、日本の伝統美が感じられる家具を重ねることで、建築と家具が互いに響き合う設えが実現しました。
本記事では、納品事例を中心に、その魅力をご紹介します。

やわらかな光が差し込む窓辺には、Time & Style の「Takenoko ラウンジチェア」と「Zen テーブル」を配置しました。
斜めにカットされた脚部が印象的なラウンジチェアは、中村拓志&NAP建築設計事務所のデザイン。整ったプロポーションと柔らかな曲線を併せ持ち、光を受けて生まれる陰影が穏やかで上質な表情を添えます。
桶づくりの製法から生まれたテーブルは、均整のとれたフォルムが特徴。香川の桶職人が吉野杉を用いて製作する軽やかでありながら芯のある存在感が、空間に整然とした印象をもたらします。

隣接するダイニングには、同じく Time & Style の「Kigumi テーブル」と「Offset ダイニングチェア」を選定。
秋田杉を贅沢に用いたテーブルは、社寺仏閣などの建築に見られるような釘やビスを使わない木組みの構造が特徴です。無垢材ならではの豊かな木目と量感が、空間に確かな重心を生み出しています。
合わせたチェアは直線と曲線のバランスが美しいミニマルなデザイン。抑制の効いたフォルムが空間にリズムを与えます。

梁や柱などの骨組みをそのまま活かした建物。そこに宿る木の風合いと精緻なものづくりが調和し、過去と現在が繋がるダイニングシーンが生まれました。

琉球畳が敷かれた一室に凛と佇むのは、è interiors の「P ソファ」。永山祐子氏によってデザインされた、畳の上でも美しく成立する一台です。畳を痛めにくい“畳摺りの脚”を備え、和の空間に自然に溶け込む設計。無駄を削ぎ落とした端正なフォルムは琉球畳と響き合い、この部屋ならではの奥行きと静かな洗練をもたらしています。
敷地内に残る蔵は「蔵BAR」として再生。歴史ある構造を生かしながら、落ち着いた夜のひと時を過ごすための場所へと生まれ変わりました。

新たに造られたロフト部分には、天童木工 の「LOW STYLE CHAIR」が並びます。張地は映えるオリーブグリーンで、小豆島の特産品をイメージして選ばれました。
低く構えるフォルムは、重厚な蔵の空間に自然に溶け込み、座る人に安らぎをもたらします。
150年の時を越えて受け継がれてきた蔵は、いまや人が集い、語らう場所として静かに息づいています。

坪庭を望む半露天風呂では、井戸の天然水による湯浴みを愉しめるほか、本格的なサウナも完備。館内や敷地内では、季節の野菜や卵の収穫体験、地元シェフによる出張料理など、滞在を豊かに彩るプログラムをご用意しています。また、島の魅力に触れるオリジナルの島内ツアーの手配も可能です。
港からの送迎サービスもあり、快適な滞在をサポートします。

伝統的な構造美と現代の暮らしに寄り添うデザインが調和した「お屋敷ステイ 幸(こう)」。約925坪の敷地には日本庭園が広がり、朝夕の光や風とともにゆったりとした時間が流れます。
館内にしつらえられた小物の多くは、蔵から見出された品や庭の草花、さらにはオーナーの手仕事によるもの。加えて、古民家再生にあたっての設計や素材選びに至るまで、細部にこだわりが施され、土地の記憶や人のぬくもりが空間のあらゆる場所にさりげなく息づいています。

暮らすように泊まる。上質な島時間を、ぜひ「お屋敷ステイ 幸(こう)」で体験してください。
家具納品:コンフォートQ
設計施工:株式会社 西崎組
設計:合同会社4FA一級建築士事務所
写真:三宅伸幸
ホテル公式サイト:https://oyashiki-stay.com/
施工年:2025年