2024.06.21
2024年6月12日~18日まで阪急うめだ本店 1階 コトコトステージ11にて開催された『倉俣デザインを飾る』。特別展示の「ミス・ブランチ」をはじめ、倉俣史朗によってデザインされた展示商品をご紹介します。
幅955×奥行825×高さ695×座面高330mm 2,062,500円(税込)
使用された素材はエキスパンドメタル。建設現場などで用いられることの多い素材です。透過するデザインによって生まれる浮遊感はまるで「空気の椅子」。観賞用ではなく"座る"ことも意図されており、金属の先端部分の溶接や、制作過程に発生するバリ(素材の出っ張りやトゲ)を滑らかに整える作業は、職人による高い技術が必要となります。見る角度によって変わる側面の重なりや、光を通した椅子の陰など、様々に美しい表情を見せる倉俣の代表作です。
幅525×奥行607×高さ858×座面高440mm 687,500円(税込)
ノリの良いジャズのスタンダードナンバーから名付けられた椅子。倉俣が好んで用いた素材のひとつ、それまで家具に使われることのなかったエキスパンドメタルを用いた最初の椅子です。背から座へ流れるようなS字のライン。前脚しかない片持ち構造によって一体となった脚と肘掛。しなやかに流れるようなフォルムが美しく、金属の座面にも関わらず、想像以上に体に馴染みます。
幅480×奥行470×高さ720×座面高420mm 330,000円(税込)
安藤忠雄が1985年に設計した京都下鴨のカフェレストトラン「モン・プティ・シュ」のためにデザインされた椅子。フォルムは、鉄製のスツールに、肘掛けと背もたれが一体となったステンレスパーツを差しこんだシンプルなデザインで、どのような空間にも合わせやすい一脚です。背中に当たる一点によって背筋が伸び、座った後ろ姿も綺麗に見えます。
幅650×奥行580×高さ750×座面高455mm 632,500円(税込)
U字型に曲げたミラーによって構成された美容室「カクティ」とともにデザインされた作品で、多くの曲線が用いられています。座面のクッションは体をしっかりとキャッチし、背面の曲線は背中に馴染みます。軽やかな雰囲気でありながら、ボリューム感がある、座り心地の良い椅子です。
幅450×奥行500×高さ610mm 289,300円(税込)
チェアかテーブルか、使用方法の選択が委ねられる作品。磨かれたクロムメッキ金属が斜めに配置されることで、椅子のようにも個性的なサイドテーブルのようにも見えます。表面は木目による陰影を感じることができ、チャコールブラックの色合いとマットの質感がどのような空間にも調和します。
幅279×奥行360×高さ1850mm 838,200円(税込)
1本の支柱に20個もの回転ドロワーが等間隔で配置されたキャビネット。好きな形に開き、並べることで数え切れないほどのスタイルを表現する姿はまるで動く彫刻です。光沢のある赤いアクリルプラスチック素材でできており、軽く、革新的な作品です。
幅820×奥行415×高さ695mm 413,600円(税込)
シンプルで個性的な白黒トーンのトローリー。鉄管のフレームは黒のマット仕上げのエポキシパウダーでコーティングされ、棚はホワイトラミネート加工が施されています。グレーのプラスチック製の車輪は、デリケートな表面に適しています。
幅700×奥行き700×高さ585mm 132,000円(税込)
「オバQ」の愛称で親しまれている照明。白い布をふわりとかぶせたようなデザインの軽やかなシェードは、一枚一枚が職人の手によって成形されています。手作りのため、形状に多少の差があるのも愛らしいところ。流れ出す優しい光は、見る者をリラックスさせる不思議な魅力があり、空間を個性的に演出します。
直径約80×高さ212mm 29,700円(税込)
当時の最新テクノロジーであった赤色発光ダイオードをワイングラス型のガラスで包んだ作品。実際にワイングラスとしての使用が可能です。倉俣自身が、注いだシャンパンをライトを点灯させることによって赤に変え、パーティーの来場者を驚かせた話が残る、ユーモアを感じさせるオブジェです。発表時の技術では製作が難しく、ごく少数しか生産されませんでしたが、復刻版はアンビエンテック独自の技術により、コードレスで防水のうえ長時間使用が可能となりました。ガラス部分は職人による手吹きで作られます。
幅175×奥行90×高さ240mm 550,000円(税込)
「サンバM」と同時に発表された作品で、どちらもキッチンに馴染みのあるグッズがデザインのモチーフになっています。作品名は水素を利用した自動車が走る未来の夢を倉俣が見たことから付けられました。復刻された商品としては一番若いもので、淡く優しい光が幻想的な照明です。
左(#1302):幅110×奥行110×高さ210mm 187,000円(税込)
右(#1303):幅269×奥行110×高さ260mm 355,300円(税込)
ピンクの色合いが目を惹く、アクリルブロックのフラワーベース。一輪挿し(#1302)、二輪挿し(#1303)タイプの2種類があり、1つ1つ職人の手で作られています。反射によりグラデーションの様に見えますが、まずピンクのアクリルで直方体を制作し、それを透明のアクリルで囲うので、真横から見ると直線の境目が確認できます。差し込まれているガラスの試験管は、取り外すことも可能です。
幅180×奥行き180×高さ38mm 264,000円(税込)
アルミ素材の灰皿。どっしりとした重厚感のある姿はオブジェとして十分に機能します。斜めから見れば、丸く陥没した部分がトリックアートの様にどこか柔らかく感じる姿は倉俣ならではのデザインではないでしょうか。格子の他、斜めのデザインもあり、そちらは斜めのラインに沿って、ヘアライン仕上げが施されています。
幅280×奥行き17×高さ20mm 15,950円(税込)
金槌のオブジェ。ヘッド部分は鉄製で家の形をしており、柄は木製です。観賞用ですので、実際に釘を打つなどの使用はできません。デザイナー曰く「少しアルド・ロッシ風の家」。三角屋根に四角い窓の家はポストモダン建築を思わせます。
当時、六本木のAXISビルに入っていた"SPIRAL"のためにデザインされた壁掛け時計シリーズの一部が展示されました。文字版の下に印刷されているSPIRALのロゴは、日本を代表するグラフィックデザイナー田中一光のデザインです。
直径280×奥行き80mm 94,600円(税込)
通称「風船」。実際に透明アクリルを膨らます"ブロー成型"という技法で製作されます。シンプルでありながら、可愛らしい遊び心が伝わる作品です。
直径170×奥行50mm 44,000円(税込)
シンプルで立体的なデザインのフレームは、アルミの素材をそのままにアルマイト技法によって黒く染色されます。文字盤に引かれた十字のラインがメリハリを出し、短針の赤が目を惹きます。
直径170×奥行50mm 44,000円(税込)
今回の展示の中で一番シンプルなデザインの時計です。トップの赤点と秒針の赤が軽やかな雰囲気を感じさせ、どのような空間にも馴染みます。
記載の価格はすべて記事掲載時点(2024年6月)の情報です。
特別展示 非売品
アクリルにバラの造花を閉じ込めた、倉俣の最もよく知られる代表作。液体状のアクリルを徐々に注ぎながら、バラの造花をピンセットで配置する工程で制作されました。アクリル内でランダムに配置されたバラが宙を浮遊し、アクリルの面に反射することで、実際よりも多くのバラが内包されているような錯覚を起こします。写し出される影もまた美しい作品です。
その独創性ゆえ「クラマタ・ショック」という言葉が生まれた逸話を持つ倉俣史朗。彼によってデザインされた商品の数々は今なお新鮮で驚きに溢れています。
今回ご紹介した商品は、コンフォートQにてご注文いただけます。ぜひ、時代を越えて世界中から愛されるクラマタデザインをお楽しみください。
倉俣史朗(1934-1991)
1960年代から1991年にかけて空間と家具デザインを中心に活躍。欧米の追随に陥らず日本的な形態に頼るでもなく、日本の文化や美意識を感じる独自のデザインでフランス文化省芸術文化勲章を受章するなど国際的にも評価が高い。