〈 ペルシャ絨毯の軌跡 〉

自然の恵みを存分に受けて作られるミーリー工房のラグ。

イランの厳しい自然環境のおかげで鮮やかな植物由来の染料や弾力に富んだ羊毛は育まれ、ミーリー工房の絨毯へと昇華されます。
そんな環境だからこそ、イランの周辺では古くから手織り絨毯の文化が花開いてきました。
かつて歴代のペルシャ王朝の庇護のもと素晴らしい絨毯が次々と生まれました。最古の絨毯の製作年は現在まだ特定されていませんが、およそ2500年前から現在にいたるまで、その美しさは人々を魅了して続けています。

ペルシャの宮廷工房で制作された精緻を極めた絨毯は献上品として世界へ広がることになります。
そうして世界に広まった絨毯は時代の流れとともに王侯貴族だけのものから中産階級のものへと変化していきました。
手織りから機械織りへ、ペルシャ絨毯からペルシャ“風”絨毯へと、その流行とともに必然的にクオリティは落ちていきました。
コストのかかる手紡ぎ・草木染という本来のペルシャ絨毯は、時代の波にもまれその文化とともに衰退していったのでした。

〈 復元不可能を可能にした工房 〉

そのような危機的な状況を憂いその復興に心血をそそいだのが、ミーリー工房の5代目ラズィ・ミーリー氏です。
一度廃れてしまった昔ながらの伝統工法の復活は簡単なことではありません。
染め・織り・柄の研究から素材の管理、それぞれの土地の織り手とのかかわりを徹底的に行うことで、各地方の伝統的な手法を復活させ上質な絨毯を作ることに成功したのです。

現在ではその功績がみとめられ、5枚のミーリー工房の作品がロンドンのビクトリア＆アルバート美術館に、21枚の作品がイラン絨毯博物館に収蔵されています。

〈 Collection 〉

[Anil]Heriz Wool / 2900x2150
あたたかなクルミの皮より得た茶色が優しく、大柄なメダリオンと相まっておおらかでゆったりとした雰囲気が感じられる作品。
メダリオンは太陽を象徴するロゼットと蓮の花、そして周りを囲む八角形も太陽を意味します。

［Elvin］Tabriz　Silk / 1710ｘ940
シャーアバースィー（アッバース王）文様と呼ばれるデザイン。サファヴィー朝時代の王アッバースが愛した植物文様。16世紀のタブリーズ宮廷工房で製作された古典絨毯をもとに、草木染を施した座繰りの絹を用いてソレフィニが再創造しました。

［Kochlar］Shahsavan　Wool Sumak / 1600ｘ1140
雄山羊や馬に乗る人物が全てを満たしています。
深い藍の地色に茜、黄色、ブルーで織り込まれた動物たちが浮かび上がり、美しく壮観です。

［Ahi］Qashqai　Wool / 2210ｘ1760
中央には三つの菱形が連続したメダリオンが織り込まれています。メダリオンとはペルシャ庭園の池を表現しているといわれ、メダリオンの連続は遊牧民や部族の絨毯にみられる特徴です。中心の四肢文様は、水の神アナヒタを象徴する蟹柄と思われます。上下のメダリオンは太陽を意味する華文様ロゼットがちりばめられています。

*全て手織りの一点ものとなります。
*ご売約済みの場合もございます。ご了承くださいませ。