長く愛され続けてきた名作照明、PH 5ペンダントランプ。その緻密に計算された光の設計思想と完成度の高い構造は、発表以来、時代を超えて評価され続けています。そのPH 5シリーズに、従来とは異なるアプローチから生まれた新たなバリエーションが加わりました。昨年登場し、大きな反響を呼んでいる《PH 5 Retake》です。

再構成というデザイン
基本構造とフォルムはPH 5そのままに、最大の特徴はその仕上げにあります。「Retake(リテイク)」の名の通り、製造過程で基準に満たなかった個体やヴィンテージのパーツを再活用し、新たな製品として再構成。そこにはサステナビリティの思想と、美意識が息づいています。


既存の塗装をあえて取り除き、アルミやスチールの素地をそのまま活かす。本来であれば排除されるムラやキズといった要素も《PH 5 Retake》では個性として成立します。
仕上げには金属部分の保護のため最小限の乾式潤滑材が施されます。これは表面の状態を一定に保つものではないため、使用環境や時間の経過とともに、金属はゆっくりと表情を変化させていきます。
素地仕上げならではの経年変化が、風合いを静かに深め、唯一無二の存在へと育てていくのです。

無機質な金属の表情は、木材やコンクリート、石材といった異素材とも美しく調和します。インダストリアルな空間はもちろん、洗練された住空間にも静かに溶け込み、空間全体にほどよい緊張感を与えます。
余白という価値
このモデルが支持される理由は「完璧に整えられたもの」ではなく、「余白のあるデザイン」であること。完成品として固定された美しさではなく、使用者とともに関係性を育てていく余白です。
《PH 5 Retake》は時間とともに価値が深まるひとつのプロダクト。均一さよりも個性を。完成度よりも余白を。
そうした価値観に共鳴する方へ、選んでいただきたい一灯です。

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