《 ファブリックの特徴 》

多くの場合、ファブリックはレザーに比べて種類が豊富です。ブランドによって得意なカラーリングや織りに特徴はありますが、数十種類から選べるということが珍しくありません。
好きな色・テクスチャーといった、選ぶ楽しみを味わえます。
今回お話を伺った株式会社エスティックでは、常時約80～90種類の張地を用意しているとのこと。

ファブリックは海外からの取り寄せがほとんどのため、トレンドに合わせて定期的に入れ替わる。増減はあるが、充実したラインナップから選ぶことができる。

また、カバーリングを希望される場合（ カバーリングのメリット/デメリット 参照）、レザーを選ぶことができない場合がほとんど。
利便性という意味では、ファブリックが先んじています。

《 レザーの特徴 》

一方、レザーの特徴はその質感と高級感といっても過言ではありません。
なめらかな手触り、上質なつや。持ち主の五感と所有欲を刺激するその存在は、レザーでしか味わえないと言えるでしょう。
また適切なお手入れを行えば、使い込むほどに素晴らしいエイジング（経年変化）を感じていただけます。
現在、日本で市販されている家具のほとんどが経年劣化するもの。
届いた時が一番美しいのです。
しかしながら、きちんと手をかけることにより、ヴィンテージ感のある素敵な質感へとご自身の手で育てていくことができる。これもレザーの特徴です。

カバーリングのソファやチェアで、メンテナンスができるとはいえ、日々汚さないように気を付けながら使うというのはなかなかのストレス。
そんな時に「アクアクリーンテクノロジー」が施された張地がおすすめです。
見た目は一般的なファブリック張地と変わりません。しかしながら、その表面は目に見えない被膜に覆われ、日常的な汚れは水だけで取り去ることができます。
醤油、ワイン、血液、皮脂、チョコレートなど…
これらの脅威から解放されたとすれば、もうソファ選びで怖いものはありません。

「アクアクリーン」生地の一部。見た目や触り心地は一般的なファブリックと変わらない。
カラーラインナップはやや少ないが、十分な種類から選ぶことができる。

《 番外編：ペットとファブリック 》

ペットは家族の一員といわれるようになって久しいですが、かつて、ペットは外にいるのが当たり前でした。
そして現在、室内飼いのペットが一般的になり、そこで出てきた新しい問題が、「ニオイ・抜け毛・ひっかき」です。

「汚れに強い張地」でご紹介したアクアクリーンテクノロジーが施された生地の中には、「アクアクリーンエクストリーム」という特殊なものが含まれます。
アクアクリーンの汚れ落ちはそのままに、「セーフフロント加工」が施されています。これは細菌に対して繁殖能力を抑制し個体数を減らすこと*、ウイルスに対しては表面の脂質膜に作用し、その数を減少させることが証明されています**。
ニオイの原因であるバクテリア対策にぴったりです。

また、このシリーズの生地表面は凸凹が全くない作りになっています。 凸凹がないため、ペットの爪が引っ掛かりにくく（もちろん私たちのズボンのファスナーやポケットのカギなども）、カバーの傷みをかなり軽減してくれます。
そして表面に織りがないため、一般的なファブリックのように織りにペットの抜け毛が引っ掛かるということがありません。ブラシや粘着テープを使い、いつもより簡単にお手入れすることができます。

いままで、ペット対応の生地というと「ラムース」や「ウルトラスエード」が一般的でした。これら人工スエードは高級感もあり、カラーバリエーションも豊富、さらにペットの爪のひっかきにも強いということでさまざまなブランドで採用されています。

しかしながら、アクアクリーンのような汚れに強い加工が施されているわけではありませんので、汚れ・ニオイに対する効果をさらに期待する場合はアクアクリーン、鮮やかで豊富なカラーバリエーションを求めるなら「ラムース」「ウルトラスエード」を検討するのがよいでしょう。

アクアクリーンエクストリームは織っていないため、プリントで模様をつけている。
写真の生地はエスティック専用生地。

*ISO 20743：2013 8.1の認証が取得され、24時間後に生地における細菌数が99.9％減少する事が示されました
**取得している18184：2019では、生地にウイルスを接触させた2時間後に91％以上のウイルスが減少する事が証明されています

3回に分けてファブリックとレザーのお手入れをご紹介してきました。 新素材やユニークな色柄が次々に開発され、私たちはますます多くのものからの選択を迫られます。
ご紹介してきたそれぞれの特徴を少し頭に入れておけば、ご自身にぴったりのチョイスがしやすくなりますね。